先日、「ネットに載っていないような、個人でやっているアットホームな書道教室を探している」というような投稿を見かけました。
それを見て、ちょっと意外に思いました。
私の中では、個人でやっている教室と、ホームページがあることは、まったく矛盾しないからです。
むしろ私は、
「何かサービスを始めたら、まずホームページを作るもの」くらいに思っていました。
これは私がWebの仕事をしてきたから、というのももちろんあると思います。
でも、それだけではない気もします。
私は、インターネット検索が一般的になってきた頃にちょうど大人になった世代です。
分からないことがあるとき、行きたい場所があるとき、習い事がしたいとき。そんなときは、まず検索する。大人になってからは、ずっとそうしてきました。
だから、自分がサービスを提供する側になったときにも、
「検索したときに出てこなかったら、存在していないのと同じ」
くらいに思っていたところがあります。
私の母は、先生の家に直接行った
でも、自分が子どもの頃のことを思い出したら、全然違いました。
私が習字を始めたきっかけは、友達が習字を習っていたことでした。
「私も習いたい!」と言ったのだと思います。
ところが、母はその先生にどうやって連絡を取ればいいのか分からなかった。
友達が通っているので、先生の家がどこにあるかは分かる。
何曜日の何時に習字をやっているのかも分かる。
それで母は、その時間に私を連れて先生の家へ行き、直接ピンポンを押しました。
「子どもが習字をやりたいと言ってるんですけど」
たしか、そんな感じだったと思います。
今考えるとなかなかすごいですが、当時の母にとっては、それが一番手っ取り早い連絡方法だったのでしょう。
電話番号を教えてもらったり、その子のお母さんに紹介してもらう方法もあったのでしょうが、うちの場合は直接行きました。
今のように教室名を検索して、ホームページから問い合わせるという選択肢はありませんでした。
少なくとも私の場合は、人づての情報だけで教室までたどり着いていました。
ちなみにキッカケとなった友達は、散歩中に先生からスカウトされたとのことでした。
地域の人間関係そのものが、今の検索やホームページのような役割をしていたのかもしれません。
今は、教室の玄関まで行く前に検索する
今、自分が習字教室を運営する側になってみると、さすがに同じ方法で保護者の方がいらっしゃることはほとんどありません。
- まず検索する。
- ホームページを見る。
- どんな教室なのか確認する。
- 料金や曜日を見る。
- Instagramなどを見る人もいるかもしれない。
そして、問い合わせフォームや公式LINEから連絡する。
最近、私は教室の問い合わせページに公式LINEを以前より分かりやすく載せるようにしました。
すると、「子どもの習い事を探しています」といったメッセージを送ってくださる方が増えました。
そこから体験レッスンへつながる場合もあります。
昔は直接、今はネット。
やっていることは、意外とそんなに変わっていないのかもしれません。
ホームページは、立派な広告でなくてもいい
そう考えると、個人教室にとってのホームページは、立派な広告を作ることとは少し違うのかもしれません。
今の時代の「教室の玄関」を作ること
- ここに教室があります。
- こんな先生が教えています。
- こんな人が通えます。
- 料金はこれくらいです。
- この曜日にやっています。
- 興味があったら、ここから声をかけてください。
それが分かればいい。
だから私は、「個人でやっているアットホームな教室」と「ホームページがある教室」は、まったく反対のものだとは思っていません。
先生本人が一人ひとりを見ている小さな教室でも、ホームページは持てます。
むしろ、突然先生の家の玄関をピンポンすることが普通ではなくなった今だからこそ、個人教室にも「ここから声をかけてください」という入口が必要なのではないかと思います。
私の教室も、最初から大きかったわけではない
私の教室は、2022年に3名で日本習字の支部を始めました。
最初から大きな教室にしようと思っていたわけではありません。
それでも、かなり早い時期から教室のホームページとInstagramはありました。
私自身がWebの仕事をしていたので、作ることへのハードルが低かったことは大きいと思います。
その後、生徒さんが増えるたびに、予約システム、公式LINE、教室管理システムなど、その時々で必要なものを少しずつ追加してきました。
現在は100名ほどの方が通っています。
もちろん、ホームページを作ったから100人になった、という単純な話ではありません。
でも、教室がまだ小さかった頃から、
「検索すれば教室の情報が出てくる」
「興味を持った人が、自分で教室について調べられる」
「問い合わせたいと思ったときに、問い合わせる方法がある」
という状態を作っていたことは、今振り返ると案外大きかったのかもしれません。
作ることより、「入口をなくさない」こと
ホームページは、一度きれいに作って完成、ではありません。
教室が変われば、必要な情報も変わります。
私自身も、教室を始めた頃と100名ほどになった現在では、サイトに載せたいことも、問い合わせの受け方も変わってきました。
だから、最初から完璧なものを作る必要はないと思っています。WixでもJimdoでも、ほかのサービスでもいい。
まずは、「この教室、ちょっと気になる」と思った人が検索したときに、「ここにありますよ」と分かる場所を作っておく。
そして、「ちょっと聞いてみたい」と思ったときに、声をかけられる入口を作っておく。
個人の教室にとってのホームページは、まずそれでいいのではないかと思います。

