習字を教えていて、「この子は上達しそうだな」と思うことがあります。
「字形がきれいに書ける」とか「才能がある」という話ではありません。
先生から何かを言われたときに、「とりあえずやってみる」ことができる子です。
最近の体験レッスンで、「えんぴつの正しい持ち方に挑戦中」のお子さんがいました。もともと頑張っていたのですが、さらにアドバイスすると、とても熱心に取り組んでくれました。
説明を聞き、まずはやってみる。
今できているかどうかより、こういう「素直さ」がある子は、これからどんどん伸びていくと思っています。
「素直」は、先生の言うことを聞くという意味ではない
ここで言う「素直」は、先生の言うことを何でも聞くとか、おとなしい子という意味ではありません。
自分が今までやっていた方法と違うことを言われても、一度は試してみることができる。そういう意味での「素直」です。
小中学校の「書写」では、お手本をそのまま書くというのが一つの目標です。
今まで自分が書いていた字と、教科書のお手本の形が違う場合もあります。
自分の字を押し通さず、目の前のお手本の形を真似してみる。
やり方を聞いて、実践してみる。
先生にアドバイスされた方法を試してみたら、「けっこう書きやすい!」となることもあります。でも、手の大きさや力の入れ方が人によって違う場合もあります。ちょっと位置を変えてみるなど、一度では「自分の持ち方」が決まらない場合もあるかもしれません。
それでも一回は耳を傾けてもらえると、教える側としてもいろいろと提案ができます。
少しのアドバイスで変わった中学生
以前、教室に中学生が入会したときにも、素直さの大切さを感じました。
その子は家庭で鉛筆の持ち方などをしっかり教えてもらっていたようで、入会したときから姿勢や持ち方がとてもきれいでした。
そして、こちらからのアドバイスも素直に受け入れてくれました。
最初の硬筆では、字の形などについて少しアドバイスをしただけで文字が変わり、当時の記事にも「今後が楽しみです」と書いています。
その後、本当に上達しました。
検定では何度か飛び級をして、現在では段を取得しています。硬筆だけではなく毛筆でも、アドバイスしたことを意識しながら練習できる子です。
最初に感じた「この子は伸びそうだな」は、間違っていませんでした。
今できるかどうかだけを見ない
習字を始めるときに、すでに字が上手な子もいれば、まだ思うように書けない子もいます。
持ち方や姿勢も、最初からできている子ばかりではありません。
でも、それだけでその後の上達が決まるわけではありません。
「ここを直してみよう」と言われたときに、一度は直してみる。
それを繰り返しているうちに、少しずつできることが増えていきます。
もちろん、先生の言う通りに書くだけでいい、ということでもありません。
まずはやってみて、そのうえでお手本と見比べたり、「こっちのほうがいいかな」と考えたり、何通りか試しながら、自分に合う方法を探してみる。
習字での「素直さ」は、アドバイスされたことを、まず試してみることなのだと思います。
最初から上手かどうかより、直そうとすること。
たくさんの子を見て感じた、上達する子が持っている大切な力のひとつです。


